「かんがえる森 Thinking Forest supported by TOPPAN」に寄せて
「Thinking Forestかんがえる森」プロジェクトは、大学院情報学環・学際情報学府の大学院生たちのハイブリッドなパワーがスパークしてみせる、爽やかな実験の連続的な展開です。
この文理融合型大学院では、学部・学科から研究科・専攻へと縦割りに細分化される傾向の強い昨今の大学院のなかで、きわめて特異な仕方で多様な専門の若手研究者たちが横断的に集い、学び、議論し、研究成果を生み出しています。コンピューターサイエンスの最先端のことをやっている理系からメディア・アーティスト、ジャーナリズムの研究者、歴史や哲学などの人文学者まで、実に多様な関心が混ざりあい、発酵しています。
これまで私たち情報学環の教員は、このきわめて新しいスタイルの大学院で、「広く、深く」をモットーに、さまざまな新しい教育上の実験を試み、新しい大学院教育の仕組みをつくりあげてきました。
しかし、この新しい大学院の、本当の新しさを体現しているのは、私たち教員以上に、ここに集った多様な才能をもった大学院生たちです。情報学環・学際情報学府に在籍する大学院生たちには、いくつかのはっきりした特徴があります。たとえば、この大学院は社会人の比率が高く、そのなかにはアーティストやデザイナーから情報技術の専門家、ジャーナリスト、編集者、行政官、社会運動家など諸々の知的職業人が含まれています。また、男女比がほぼ半々でバランスがいいことや、世界各地の実に様々な大学の出身者が集まってきていることなど、とにかく多様です。
私は、この21世紀初頭の混迷し、停滞する世界のなかで、新しい可能性は、多様性を排除することによってではなく、多様性を受け入れ、対話させ、協働させることによってこそ生まれてくるのだと信じています。
大学院情報学環・学際情報学府は、まさしく知的な創造性において、そのような多層性のなかからの創造を実験する最良の場所です。
今回の「Thinking Forestかんがえる森」は、学際情報学府の博士・修士課程に在籍する大学院生たちの間から、ボトムアップ的に構想されてきたものです。このプロジェクトの実現には、情報学環・学際情報学府という組織のもつ多様性、そしてその分野を越えた連帯が十分に生かされています。私たちは、福武總一郎氏よりご寄付いただき、来春にオープンする大学院情報学環の新しい拠点、情報学環・福武ホールの竣工に向けた第一弾のイベントとして、また東京大学創立130周年の記念事業の一つとして、このような大学院生が主体となるプロジェクトを実現したいと考えました。
そして今回、この私たちの試みの実現にあたり、凸版印刷株式会社様にご協力いただけましたこと深く感謝いたします。
どうかできるだけ多くのみなさんに、このイベントにおいでいただき、21世紀の学問とアート、テクノロジーの新しい結びつきが、東京大学の学生たちの間でどのように熟成しつつあるのかに触れていただきたいと存じます。
大学院情報学環長・学際情報学府長
吉見俊哉
| 2007-05-23 (水) | Staff log | TrackBack: 0 |
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